ちょっと、くさってきました。

　新也美樹さんの『嫁に来ないか』
　シリーズの最初の作品。

　

　とある会社に勤める池崎敬吾(いけざきけいご)は
　食事中につぶやきます。
　
　「嫁が欲しい。」
　
　それを聞いた彼、小早川一美(こばやかわかずみ)は
　池崎の家へ押しかけ
　「あなたの嫁」宣言をする。

　いきなり見知らぬ男に『嫁』宣言をされ
　あれよあれよという間に
　一美のペースにはめられ
　いざ、就寝となったとき敬吾に悲劇が訪れます。

　それは、
　「嫁に組み敷かれる」
　というもの。

　そして、悲劇はこれだけに留まらず
　痛い腰を擦りながら会社に行くと
　急に部長に呼び出される。

　何かと思って部長の後をついていくと
　連れて行かれたのは支社長室。
　そこにいたのは、あの小早川一美だった。

　小さい頃から『お嫁さん』になることが夢だった一美。
　大企業の御曹司でありながら、
　家事は完璧、仕事も出来て、しかも美男子ときている。
　女子社員の人気も絶大なものなのだが、一美は敬吾一筋。
　敬吾の人柄に惹かれて、嫁になることを決心したくらいですからね。

　ごくごく普通の人に見える一美だが
　言ってることはすごく電波だな。

　そこが、この作品の魅力でもあります。

　そんな一美に絆されて
　敬吾も次第に一美に惹かれていきます。

　そして、仕舞いには一美の電波具合が敬吾にも感染し
　両親に真面目に
　「一美さんを嫁に下さい。」
　と挨拶するところがまた滑稽。

　しかも、一美のお見合いの話が持ち上がり
　おちつかない敬吾に
　上司からお見合いの場所を教えてもらうなど
　周りの協力もあって晴れて？二人は結婚に！

　『僕は三国一の幸せ者です。』

　初めて二人で迎えた朝。
　敬吾よりも早く起きた一美が
　敬吾の寝顔を見ながら言う台詞。
　一番印象に残っている台詞です。

　これって
　現実にはかなり厳しいことですが
　ほんとうに大好きな人と結ばれることが出来たなら
　世界一幸せ者だって思うでしょうね。

　そういうカップルが沢山出来て
　そんな人たちを温かく迎えてくれる世の中になってくれたら
　いいのにな。